医療格差と聞いてまず思い浮かぶのが、都会と田舎の病院数の差である。
都市部は単純に病院の数が多いため、すぐに医師に診てもらえる。大学病院も充実しており、クリニックも多く見受けられるため、自分の症状にあわせて選択したり、混雑しているときには別の場所にかえたりと、臨機応変に使い分けることができる。
これに対し、地方では病院の数が限られるため、必要なときに診てもらえない可能性がある。
特に過疎地域ではこうした傾向が強く、例えば山奥や離島に暮らしていると、病院まで行くのに何時間もかかる場合がある。緊急性の高い病気の際には、死活問題となりうる。
しかし、必ずしも都会であれば安泰というわけではない。
最近、患者のたらい回しが大きな社会問題となっている。病院側が、患者の受け入れを拒否するのが理由である。
もちろん、病院が個人的な好き嫌いで選別しているわけではない。すでにベッドがいっぱいで、新規の患者を受け入れられない状況にあるためである。
東京を中心に、都市部では人口の増加が著しい。その結果、病院の数に対してその周辺の生活する人の数の方が大きくなってしまっている。
ひと昔前までは都市部にいれば手厚い治療を受けられたが、現在では救急車のなかで何時間もさまよい続けてしまう確率も十分に考えられる。
国をあげて医師の数を増やそうと努力はしているが、まだまだ効果が実感できる段階に達するまでには時間がかかる。そのため、医療格差は誰にでも起こりうる問題であるといえる。